雇用調整助成金について

 新型コロナウイルスの影響に伴い、さまざまな拡充がされてきた雇用調整助成金ですが、再度助成額の算定方法を簡略化することになりました。詳細は19日の発表とされておりますが、これまでにはっきりしていることは以下のとおりです。
1.実際の休業手当額による算定
 これまで雇用調整助成金の助成額は「平均賃金額」を用いて算定しておりましたが、小規模事業主(概ね従業員が20人以下)の場合は、「実際に支払った休業手当額」により算定することとなります。
2.休業等計画届の提出が不要
 これまで申請に際し、計画届を事前に(今回のコロナに関しては事後提出も可)提出しておりましたが、支給申請のみの手続きとなります。
3.「平均賃金額」の算定方法の簡略化
 ① これまで平均賃金額の算定は「労働確定保険料申告書」により算定しておりましたが、「源泉所得税」の納付書により算定することとなります。
 ② これまで過去1年間の実績により「所定労働日数」を用いて算定して いましたが、休業実 施前の任意の1ケ月をもとに算定できるようになります。
4.上限金額が変更に
 これまで助成額の上限は、一人当たり8,330円とされておりましたが、15,000円までとなるようです。
 さらには、雇用調整助成金を申請していない中小企業の従業員で、休業を余儀なくされたにも関わらず、事業主から休業手当を受けられない方々の救済を目的に新しい制度を導入する、と政府は発表致しました。給付金は労働者ごとの直近の平均的な賃金を基に計算されるようですが、月額賃金の8割程度を支給し、上限月33万円となりそうです。簡易な手続きで申請後1週間程度での支給が見込まれているようです。因みに今回のこの制度は災害時に適用されてきた、実際には離職していなくても失業しているとみなして失業保険が受給できる雇用保険の特例措置である「みなし失業」の仕組みを参考にしているようです。この場合「離職票」に準じた「休業証明」が必要です。
 ところでこの新制度により、事業主が休業手当を支払わずに、本人に直接給付を申請させることができるか、というとそういう事にはならないようで、休業させた場合の事業主の休業手当支払い義務がこれにより免除されるものではないと、加藤厚労大臣が釘をさしておりました。

窓口体制の縮小等

 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言に伴い、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、協会けんぽ等多くの役所が感染の恐れを軽減するため、必要最小限の窓口体制に縮小しているところです。協会けんぽにつきましては、全支部の窓口職員の常駐を休止し郵送受付のみにて対応となっております。手続きが滞り気味ではございますが、何分ご事情をお察し下さい。

労働保険年度更新期間延長等

 労働保険の年度更新の時期が近づいております。例年申告期間は、6月1日~7月10日とされておりましたが、本年に限り6月1日~8月31日に延長することとなりました。告示についきましては改めて公表される予定です。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響により事業の収入に相当の減少があった事業主は申請により保険料の納付を1年間猶予することができます。この特例が適用された場合は担保の提供も不要となり、延滞金もかからないこととなっています。
 厚生年金の保険料につきましても同様に納付期限が1年間猶予され、延滞金が免除されます。ご留意ください。

経営事項審査の基準見直し

 国土交通省より経営事項審査の基準の一部見直しが告示されました。
 令和2年4月1日施行です。おもな改正点は以下のとおりです。
1.技術力(Z)技術職員(Z1)の改正
 建設キャリアアップ制度でのレベル4、レベル3の建設技能者を評価対象としました。
 今年4月より本運用されております建設キャリアアップシステムのレベル判定を活用し、優れた技能を有する技能者を雇用する事業者を評価します。
①建設技能者の能力評価基準によりレベル4と判定された者は「登録基幹技能者」と同レベルとして3点の評点を付与
②建設技能者の能力評価基準によりレベル3と判定された者は「技能士1級」と同レベルとして2点の評点を付与

編集後記

 東京の新規感染者数等をみると収束に向かいつつあるような印象ですが、やはり本当に安心できるのは検査数が増加してからでしょうか。油断する事なく、これからの生活の為にもうひと踏ん張り頑張りたいものです。今はできる限り力を蓄えて、V字回復の起爆剤としましょう。