被扶養者状況リストについて
現在被扶養者状況リストについて、お送りして確認をお願いしているところでございますが、今年度は9月11日現在の届け出により作成されております。今回は「国内居住要件」が新設され、これに伴い「海外に居住している」欄も新設されました。
また、状況リスト欄に「被保険者と別居している」欄が設けられ、状況確認をすることとなっています。「海外に居住している」欄にチェックを入れた者を対象に、令和3年2月を目途に確認書類を事業主宛に送付されることとなっています。
一時制度を悪用されている、との疑義が問題化したことにより今回の厳格化となったようです。上記確認のための必要添付書類は以下のとおりです。
〇「被保険者と別居している」場合
・仕送りの事実と仕送り額の確認書類
預金通帳の写し(仕送先、仕送元、金額が確認できるもの)
・現金書留の控えの写し
〇「海外に居住している」
・査証、学生証、在学証明書、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書、婚姻等を証明する書類等の写し
いろいろと厳しくなりました。ご協力のほど宜しくお願い致します。
看護休暇・介護休暇時間単位で
令和3年1月1日より育児・介護休業法施行規則等が改正され、子の看護休暇や介護休暇が柔軟に取得できるよう、時間単位でとれるようになります。
改正前は半日単位の取得しかできませんでした。また、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者はこれまで取得できないこととされていましたが、全ての労働者が取得可能とされました。この場合の「時間」とは、1時間の整数倍とされ、労働者の申し出に応じて希望する時間を取得させて下さい。
今回の法令で求められているのは、いわゆる「中抜け」(就業時間の途中から時間単位で休暇を取得し、再び就業に戻ること)なしの休暇ですが、法を上回る「中抜け」ありの制度とすることは問題ありません。
就業規則の変更も必要となってまいります。ご相談下さい。
ハラスメント防止対策強化
中小企業については令和4年4月1日からの義務化でそれまでは努力義務ですが、大企業は本年6月1日よりパワーハラスメント防止措置が強化されています。「パワーハラスメント」とは、①優越的な関係を背景とした言動で②業務上必要且つ相当な範囲を超えて③労働者の就業環境を害するもの、とされており、①~③の全ての要素を満たすものです。
これは職務上の地位が上の者からのみではなく、業務上の知識や経験が豊富な部下や同僚からの行為も含まれますし、同僚、部下の集団からの行為も同様です。
また、実際の適用については、業務上必要な指示や指導との判別が難しく、社会通念に照らして相当されるものがとこまでか、という問題を生じます。
当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられる、とのことですが、そもそも「平均的な労働者の感じ方」も一様ではありません。ケースバイケースとなるのでしょうが、ご留意下さい。
編集後記
日本郵便の契約社員の待遇格差に係る最高裁の判決が15日に出されました。まさに「同一労働同一賃金」に関する最高裁の判断です。今回の裁判では扶養手当や年末年始手当、冬期夏期休暇の付与に対し、「不合理な格差」に当たると判示しました。日本郵便の非正規社員は18万5千人。日本郵便はすみやかに労使交渉を進め、制度改正に取り組むとのコメントを出しました。13日には、別の訴訟で退職金と賞与に関しては正規、非正規の業務内容の違いを理由に不合理ではないとの判断をしたところでした。今回の判決は日本郵便の労働環境に即したもので企業一般に対する判断ではないともみられますが、政府の「同一労働同一賃金」の運用には今後一定の影響がでるものと考えられます。難しい時代に入りました。