最低賃金大幅引き上げ

 最低賃金は過去最大の引き上げとなるようです。中央最低賃金審議の小委員会で2021年度の地域別最低賃金の改定につき都道府県の時給を一律28円引き上げ、全国平均で930円とする目安をまとめました。
 2002年に現在の時給で示す方式に変更されてから最大幅と言えます。都道府県の地方審議会が目安通り上げることになりますと、全都道府県で時給800円を上回ることとなります。
 最高額が東京都の1,041円、最低額が秋田等7県の820円とされておりますが、神奈川県は7月30日午後1時30分より万国橋会議センターにて審議されることとなっており、傍聴できます。事前申し込みが必要となりますが。
 連合の富田総合局長は「コロナ禍でも最低賃金を引き上げる必要性が、受け入れられた」と評価しておりますが、日本商工会議所の方は「極めて残念で納得できない」とコメントしています。
 飲食や宿泊関係の業界が経営に苦しむなか、雇用の維持や廃業に深刻な影響が考えられます。韓国の文在寅政策の失敗が頭をよぎりますが、今後も注視が必要です。
 実際の改定は10月ですので、詳細は再度お知らせ致します。

中途採用者の公表ついて

 労働施策総合推進法の改正により常時雇用労働者数301人以上の大企業に関しましては、本年4月1日より中途採用者の比率の公表が義務付けられました。
 省令では、「おおむね1年に1回以上、公表した日を明らかにして、直近3事業年度について、インターネットの利用その他の方法により、求職者が容易に閲覧できるように」とされています。
 制度の趣旨としては、労働者の主体的なキャリア形成による職業生活のさらなる充実や再チャレンジが可能となるよう、中途採用に関する環境整備を推進する、とされています。
 「中途採用」とは、「新規学卒等採用者」以外を指し、新たに学校・専修学校を卒業した者、職業能力開発促進施設(職業能力開発校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、障害者職業能力開発校)、職業能力開発総合大学校の行う職業訓練を終了した者又はこれに準ずる者であることを条件とした求人により雇い入れられた者ではない者、となります。
 高年齢者雇用安定法上の継続雇用制度による「再雇用」労働者はこれには含まれません。
 ただし、契約社員として契約後、正規雇用労働者に転換した場合などは、これに含まれます。
 転籍や出向については含むことはできません。公表年度中の退職者は計算に含めることができますし、副業・兼業を行っている者でも正規雇用すれば含むことができます。再チャレンジの引き金になればよろしいのですが。

労働者派遣契約電子化へ

 労働者派遣契約については2021年1月より電子化が認められることとなりました。政府がペーパーレス化を推進しており、電子契約も普及してきたため、効率化の観点から、労働者派遣法施行規則及び文書法令を改正し、契約の電子化が法令上でも正式に認められました。
 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則及び厚生労働者の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令」によります。
 これまでは、労働者派遣法施行規則21条第3項に「書面に記載しておかなければならない。」と書かれていたため、書面作成の必要があるとされておりましたが、電磁的記録により作成することが認められた次第です。
 従来の紙による管理という煩雑さから解放されるため、今後は益々電子契約が進んでゆくと考えられます。

国交省盛り土総点検へ

 3日に発生した静岡県熱海市の大規模土石流災害を受け、国交省は盛り土の可能性がある箇所を抽出する作業を始めました。地形図データを基に進めるようです。
 宅地造成地に限らず5メートル以上の標高差が生じた場所はすべて洗い出すそうです。関係省庁や地方自治体と抽出箇所の情報を共有し、連携しながら、点検方法等も確立していくとのこと。国土地理院が整備した地形図と航空レーザーで得た標高データで国土面積の70%はカバー出来るようです。
 線状降水帯等発生による大規模災害が頻発する現在、盛り土の危険性が改めてクローズアップされました。点検後の対策等今後も気になるところです。

編集後記

 なかなか止まないコロナ禍です。緊急事態宣言の只中、オリンピック開催へ踏み切るという大胆な決断に踏み切りました。
 オリンピック競技は無観客でも、一般の野球やサッカーは人数制限しながら観客を入れる、というねじれた状況です。
 協力要請に応じない業者に対して金融機関から圧力をかけるという暴挙は取り下げられましたが、状況はパンデミックに既に突入しているかのようです。業者だけではなく、一般人に対する行動制限は全く機能していないように見えます。
「人はあほうと申候共何と申候ともかまひなく、律儀成るほど能き人はなし」、国民から何を言われようとバッハ会長に律儀を貫く菅首相は能き人となり、衆議院選挙を戦い抜くのでしょうか。