最低賃金28円引き上げ

 厚生労働省は8月13日都道府県ごとの審議会が取りまとめた今年度の改定額を発表しました。中央最低賃金審議の小委員会での2021年度の目安どおり前年度より28円引き上げ、全国平均で930円となりました。初めて全都道府県で時給800円を上回ることとなります。
 昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大による雇用への影響を考慮し、全国的に据え置き又は最大3円増に止めておりましたが、今年度は企業利益や現状の雇用情勢を勘案するに、コロナ禍以前と比し、大きな相違はないとして、全国一律28円増の目安が示され、各都道府県もほぼ同様に改定額を決定致しました。目安より上積みした都道府県は島根の4円増、秋田・大分の2円増、青森・山形・鳥取・佐賀の1円増となっています。東京は最高額の1,041円、神奈川県は東京に次ぐ1,040円です
 最高額と最低額の差は、変わらず221円のままとなりました。
 改定は10月上旬ですので、時給がこれを下回る事の無いよう変更をお願い致します。

雇用保険基本手当等日額変更

 8月1日より雇用保険の基本手当日額が以下のとおり変更されます。離職日における年齢により決定します。
【基本手当日額】
○最高額
①60歳以上65歳未満 7,186円→7,096円
②45歳以上60歳未満 8,370円→8,265円
③30歳以上45歳未満 7,605円→7,510円
②30歳未満     6,845円→6,760円
○最低額       2,059円→2,061円
【高年齢雇用継続給付】
○支給限度額  365,055円→ 360,584円
○最低限度額   2,059円→  2,061円
【60歳到達時等の賃金月額】
○上限額     479,100円→ 473,100円
○下限額     77,220円→  77,310円

業務改善助成金内容変更

 『業務改善助成金』が8月1日より使い易くなりました。『業務改善助成金』は、生産性を向上させ、「事業所内で最も低い賃金」の引き上げを図る中小企業・小規模事業者を支援するための助成金です。
 事業場内の最低賃金を一律に引き上げ、生産性を向上させるための機械設備の導入(飲食業におけるテーブルオーダーシステム、清掃業における業務用吸水掃除機等)や業務改善に係るコンサルティングの活用、人材育成・教育訓練を行った場合に費用の一部を助成するものです。
 今回は、PC、スマホ、タブレットの新規購入や貨物自動車なども生産性を向上させるものであれば対象になる、とされています。
【助成対象事業場】
 以下の2つの要件を満たす事業場
①事業場内最低賃金と地域最低賃金の差額が30円以内であること
②事業場規模100人以下であること
※新設10人以上の上限区分は以下のいずれかに該当する事業場が対象となります。
①事業場内最低賃金900円未満の事業場
②売上高や生産量等事業活動を示す指標の直近3ケ月間の月平均値が前年又は前前年の同月に比し30%以上減少している事業場
【助成率】
 事業場内最低賃金900円未満:4/5
 生産性要件を満たした場合:9/10
 事業場内最低賃金900円以上:3/4
 生産性要件を満たした場合:4/5
※ここでいう生産性とは決算書から算出した労働者1人当たりの付加価値を言い、3年度前のものと比較し伸び率が一定水準を超えている場合に加算されます。

編集後記

 新型コロナウイルス感染症の拡大はとどまるところを知らないようです。緊急事態宣言も延長され、蔓延防止地区も拡大されました。自宅療養者は増加し、医療の逼迫はコロナ以外の患者にも大きな影響を与えています。かてて加えてこの大雨。神奈川でも記録的な雨量で、道志川、境川、金目川、渋田川、歌川が氾濫危険水位を超え、135号線でも崖崩れが発生しました。そんな中「雇用保険料率引上げ」の記事が掲載されております。22年にも、とのことですが、雇調金4兆円超はリーマンショック時の6倍、完全失業率を2.6%抑えた、と試算されています。雇調金が完全失業率を半減させたことになります。財源の再構築もやむなしですね。