最低賃金が改定されます
例年、10月から行われる最低賃金の改定ですが、今年ついに47都道府県で1,000円を超えました。「全国加重平均額66円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額」であり、また、最も高い東京都と最も低い県の間の格差も改善されてきているとのことです。
改定のスケジュールは都道府県によって異なり、例えば東京都は10月3日から1,226円、神奈川県は10月4日から1,225円、埼玉県は11月1日から1,141円になります。
この最低賃金改定に際して、中小企業庁は今月、「経済産業省の中小・小規模企業への支援策」を公開しました。この支援策は、(1)賃上げ原資確保に向けた価格転嫁対策の強化、(2)賃上げ原資確保に向けた補助金等による支援、(3)中小・小規模企業の生産性向上における賃上げ支援機能の強化という3本柱となっています。
一つ目の価格転嫁対策の強化は、改正下請法(取適法)、改正下請振興法を着実に執行すること、そして取引慣行の改善に向け、「本年3月の「価格交渉促進月間」を踏まえ、中小企業30万社へのアンケート調査を実施。10社以上の中小企業から主要な取引先として挙げられた企業等について、発注側企業ごとに、交渉・転嫁・支払条件の状況を整理し、4段階で評価した『発注者リスト』を8月5日に公表(発注側企業446社、国・地方公共団体等71機関)」、周知・広報や対応の遅れがある元請け企業への働きかけ、行政指導の強化、業界団体への働きかけが行われるとのことです。
次に二つ目の補助金などによる支援は、経営計画を作成し販路開拓等に取り組む小規模事業者に向けた持続化補助金等の支援やよろず支援拠点等を通じた伴走支援、中小企業向け賃上げ促進税制における5年間の繰越控除措置の活用などにより、赤字企業であっても賃上げに取り組めるようにしていくこと、そして100億企業を目指す中小企業などに対する成長加速化支援、事業承継、M&A、再生支援等への支援が行われます。
三つ目の賃上げ支援機能の強化とは、ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)の要件緩和に加えて、補助率引上げや採択審査における加点措置がなされます。いままで上記の補助金は「指定する一定期間(R5.10~R6.9)までの間で、3ヶ月以上、地域別最賃+50円以内で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上いること」が要件でしたが、「指定する一定期間において、3か月以上改定後の地域別最賃未満で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる事業者」が対象となります。基準が改定前の地域別最低賃金プラス50円から改定後の地域別最低賃金になりますので、適用できる企業が増えることとなります。新しい機械などへの設備投資やシステム開発等をする場合に利用できる場合があります。必要に応じご検討ください。
賃上げに際し、相談先としては働き方改革推進支援センターやよろず支援拠点、中小企業関係団体等があります。当事務所にもお気軽にご相談ください。
参考:厚生労働省、2025/9/5「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」<https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html>2025/9/14取得。経済産業省、2025/9/9「最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表します」<https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250909001/20250909001.html>2025/9/17取得。
扶養控除の要件見直し
被扶養者認定における年間収入要件が、今年の10月から変わります。現時点では、年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)および、同居の場合は収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、別居の場合は収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満となっています。これが、扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く。)は、現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変わります。人手不足に際し、「働き控え」への対策としての改定のようです。年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定されます。
留意事項としては、「令和7年10月1日以降の届出で、令和7年10月1日より前の期間について認定する場合、19歳以上23歳未満の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判定」されるとのことです。また、「令和7年9月30日以前に扶養認定済みの19歳以上23歳未満の被扶養者については、令和7年10月1日以降は年間収入が150万円以上見込まれる場合に被扶養者の削除(非該当)の届出が必要」となります。
参考:日本年金機構、2025/8/15「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」<https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html>2025/9/17取得。
編集後記
先日、カツ丼の専門店に行ってきたのですが、その店ではご飯の量をかなり細かく設定できるようになっていて驚きました。普通盛りと大盛りという店は今までも多く見てきましたが、「ほーんの少々」「かなり少なめ」「半分」「ちょっと少なめ」「通常の量」という5段階で、おいしいご飯を残すのは「モッタイナイ」とのことです。SDGsの時代ですね。小食な方、摂取する炭水化物の量に気をつけている方、様々な種類のメニューを楽しみたい方にはこれもありがたいサービスでしょう。大変カツ丼は美味しく、良い休日となりました。
少し暑さも緩み、食欲の秋の訪れを感じます。とはいえまだ熱中症対策は重要です。また、台風シーズンもこれからですので、どうか皆様ご安全に。