一人親方問題3月中にも成案か

 国土交通省は、一人親方問題(一人親方処遇改善対策)につき中間取りまとめ案を策定しました。「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を改定することとなります。
 実質雇用関係にある技能者を一人親方として、社会保険の負担を免れている企業を問題視し、この様な企業を下請けとして選定しないように元請企業に求める、としています。
 「建設業の一人親方問題に関する検討会」では、社会保険加入や長時間労働規制などの回避を目的に実質的に雇用関係にある技能者を一人親方とする「偽装一人親方」の存在を問題視し、一人親方の定義を「請け負った仕事を自らの責任で完成できる技術力と責任感を持ち、現場作業に従事する個人事業主」としました。
 ガイドラインでは、実務経験10年以上、建設キャリアアップシステムレベル3相当以上が必要とされています。これを下回る技能者については、社会保険の加入等法令遵守がもとめられます。

「解体工事業」経過措置3カ月延長

 国土交通省は、本年3月31日とされていた「解体工事業」の経過措置を3カ月延長することとしました。とび・土工工事業の技術者を解体工事業の技術者とみなす経過措置ですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、登録解体工事講習が中止や定員縮小となり、このような状況を踏まえ6月30日まで期限を伸ばすこととなりました。
 とび・土工工事業の技術者が経過措置終了後も解体工事業の許可を受けるためには、期限(3月31日)までに登録解体工事講習を受講するか、実務経験1年以上の要件を満たした上で営業所の専任技術者として許可の変更届出をする必要がありました。
 しかし、この登録解体工事講習が新型コロナウイルス感染症の影響で4・5月が中止。6月に再開はしたものの、定員を大幅に縮小しての実施だったため、技術者の受講機会が大きく減少しました。3月こそ定員を8500人と増やしましたが、首都圏では緊急事態宣言が2週間延長、今後も予断を許さない状況です。
 国土交通省は、こうした状況を踏まえ、技術者が受講できず、4月1日以降継続して解体工事業の許可を受ける事が困難な建設業者が多数発生している、との認識を新たにし、経過措置の6月30日までの延長を決めた様です。
 地方整備局、都道府県、建設業110団体に対し、経過措置延長の検討状況に関する文書を送付し、延長された場合の事務処理や建設業者への周知などを求めたとのことです。

コロナ関連助成金

 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症による小学校休業等に伴い子どもの世話が必要とされる労働者に対し、有給の休暇(賃金全額支給・年次有給休暇を除く)を取得させた事業主に対し支払った賃金相当額(日額上限15,000円)を支給します。
 申請期限に関しましては、令和2年10月1日~12月31日までの休暇につきましては、令和3年3月31日まで、令和3年1月1日~3月31日までの休暇につきましては、令和3年6月30日まで、となっています。
 また、令和2年5月7日に改正された母性健康管理に関する指針で、新型コロナウイルス感染症に関する措置が規定されておりますが、この措置の期限が令和4年1月末日まで延長されています。
 この措置は、妊娠中の女性労働者が、新型コロナウイルス感染症への感染の恐れに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、事業主に女性労働者から申出があった場合に、事業主は必要な措置を講じなければならない、とされているものです。
 この措置に関し、妊娠中の女性労働者が取得できる有給休暇制度(年次有給休暇は除き、年次有給休暇の賃金相当額の60%以上を支給するもの)を整備し、この制度を新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容と併せて労働者に周知させ、尚且つ当該休暇を5日以上取得させて事業主に対しては、5日~20日の有給休暇に対し25万円、以降20日毎に15万円加算(上限100万円)、1事業所あたり、20人までという助成金があります。

編集後記

厚生労働省は、コロナ禍で収入が減少した世帯に生活費を貸し付ける「緊急小口資金」及び「総合支援資金」の申請期限を6月まで延長することを決めました。両方使えば200万円を借り入れることが可能です。国の施策で利用できるものは利用しつつ、個々の事業主の方々も努力しておられることと思います。先日は、落語芸術協会会長の春風亭昇太師匠がコロナ対応に尽力している様子をドキュメンタリー番組で観て感銘を受けました。宅配に活路を見出すレストラン、居酒屋から焼き肉店にシフトするワタミ、バーチャル旅行で旅先を紹介する旅行業者、配信でファンを増やす落語などの古典芸能。随所で工夫が見られます。コロナ明けのV字回復に期待です。