雇用調整助成金特例措置延長

 厚労省は10月19日、雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置を2022年3月まで延長することを公表しました。
 助成内容につきましては、12月末までは現在の内容を継続することとされており、2022年以降の内容については「経済財政運営と改革の基本方針2021(令和3年6月18日閣議決定)」に沿って具体的に検討し今月中に公表することとされています。
 これまでの支給申請は、緊急雇用安定助成金と合わせて約500万件、支給決定額については4兆6540億円あまりです。
 11月9日には「日本旅行業協会」の会長が代表取締役を務めるワールド航空サービスが「雇用調整助成金」を不正受給していた、として問題になりました。助成金額は7000万円に上っています。詳細は分かりませんが、内部告発からでしょうか。

「しわ寄せ」防止月間

 11月は「しわ寄せ」防止キャンペーン月間です。  大企業・親事業者による長時間労働の削減等の取組が、下請等中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更などを生じさせている場合がある、とのことで、11月はその様な事態を改善すべく、キャンペーンが開催されています。
 働き方改革の推進のため関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号。以下「働き方改革関連法」という。)により改正された労働基準法に規定された罰則付き時間外労働の上限規制(原則として時間外労働の上限は月45時間、年間360時間、特別条項がある場合でも、年間720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満等、違反した場合には6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)や年5日の年次有給休暇取得(有給休暇の付与日数が10日以上の労働者については年5日の確実な取得)等改正事項の施行に伴い大企業・親事業者による長時間労働の削減等の取組が、結果として下請等中小事業者に「しわ寄せ」を生み、短納期発注、急な仕様変更、人員派遣要請、付帯作業の要請等となっている場合が認められます。
 平成30年12月には、下請中小企業振興法(昭和45年法律第145号)に基づく進行基準が改正(平成30年経済産業省告示第258号)され、親事業者は、①自らの取引に起因して、下請事業者が労働基準関連法令に違反することのないよう配慮することや、②やむを得ず、短納期又は追加の発注、急な仕様変更などを行う場合には下請事業者の増大するコストを負担することとされました。
 この「しわ寄せ」は、下請法で定める禁止行為に該当する可能性がありますので、ご注意下さい。

健康保険被保険者証本人直送?

 本年10月1日より保険者が支障ないと認めるときは、保険者から被保険者に直接交付することが可能となりました。
 テレワークの普及等に柔軟に対応する事務手続きの合理化ですが、条件である「保険者が支障ないと認めるとき」につきましては、協会けんぽは現状直接交付する予定はないとのことですので、当面は従前どおり事業主経由の発行が続きそうです。
 マイナンバーカードの被保険者証利用もありますので、流動的ですね。

CCUS利用促進

 建設キャリアアップシステム(CCUS)の現場利用から、建設技能者の処遇・働き方改革につなげるよう様々な方策が検討されています。
 国土交通省では、CCUSによる現場入場記録から週休2日工事等に活用し、技能者の休暇取得の促進に役立てたい、と考えているようです。
 システムを利用し、週休2日の実施状況を確認する等の機能拡大も図ってゆくことになるのでしょうか。
 大手ゼネコンの一部では、登録技能者のランクに応じて手当の支給額を設定する方法も検討されているようです。いろいろなアイデアが生まれています。
 公共工事では、CCUSモデル工事や総合評価の加点措置など、インセンティブの導入が広がっています。都道府県発注工事では企業評価でCCUSを導入すると発表した自治体が25件に増加しました。世田谷区ではWLB(ワークライフバランス)への取組状況も評価項目に採用する案が出ているようです。
 労働安全衛生の項目では、建設業災害防止協会(建災防)への加入や建災防の建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス)の認定、東京都の「東京ライフ・ワーク・バランス認定」、厚生労働省による「えるぼし認定」「くるみん認定」等今後の動向には注意が必要です。

編集後記

 緊急事態宣言が解除され、街は落ち着きを取り戻しつつありますが、海外旅行はいまだに入国時の待機期間があり、国内旅行もなかなか腰が上がらない状況です。飲食店も通常営業に戻りつつありますが、アルバイト等の従業員確保がままならず、完全回復には程遠いようです。企業の忘年会も80%位は実施しない方向です。
 新規感染者は原因不明のまま大幅な減少を果たしましたが、いまだマスクは手放せない事態となっています。
 しかし、「偶然は準備のない者には微笑まない」といわれています。今こそコロナ下で準備を怠らなかった者が勝利を収める時でしょうか。