女性活躍推進法拡大
2020年6月より順次施行されております「改正女性活躍推進法(正式名称「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)」ですが、来年4月から一般事業主行動計画の策定・届出や情報公表が義務付けされる事業主の範囲が拡大されることとなっています。
これまでは労働者数301人以上でしたが、101人以上となります。これにより相当対象事業主が増加するのではないでしょうか。
女性活躍推進法は、すべての女性が輝く社会づくりを進めるため2015年8月28日成立、2016年4月全面施行、2019年に改正されています。情報公表の強化や「えるぼし」認定よりも水準の高い「プラチナえるぼし」認定が創設もされています。
オリンピック委員会での森元総理の発言等みますと、日本ではまだまだ進んでいない状況とはおもいますが、背景には国の将来の労働力不足に対する懸念があります。日本の生産年齢人口は1995年の8716万人をピークに減少を続け、2020年5月には7471万人となり、過去最低です。就業率は上昇していますが、家庭での負荷はいまだに圧倒的に女性が担っており、結婚、出産、育児、介護、看護等による離職が多いのも事実です。管理職に就く女性の人数等、世界経済フォーラム(WEF)が国別に男女格差を数値化したジェンダーギャップ指数では156カ国中120位です。
このような状況を解消するため、国が先導し、地方自治体や企業が一丸となって進める一大プロジェクトとなっています。
雇用保険マルチ高年齢被保険者
2022年1月1日より「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されます。
従来雇用保険制度は、主たる事業所で週20時間以上勤務かつ31日以上の雇用見込みであることが適用条件となっておりますが、今回の「雇用保険マルチジョブホルダー制度」は、複数事業所で勤務する65歳以上の労働者が2つの事業所の勤務を合計して要件を満たせば、特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)になることができる制度です。
本人がハローワークに申出ることにより、申出を行った日から被保険者となります。失業した場合には、離職日以前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間があれば、高年齢者求職者給付金(被保険者期間に応じ基本手当日額の30日分又は50日分の一時金)を受給することができます。
この場合、2つの事業所の内1つの事業所のみ退職の場合でも受給することができますが、在職中の事業所と3つ目の事業所の勤務時間合計がマルチ高年齢被保険者の要件を満たす場合には受給できません。
受給額は、原則直近6ヶ月の賃金の合計を180で除して算出した金額の5~8割で計算されます。
要件は以下のとおりです。
1.複数事業所に雇用される65歳以上の労働者
2.2つの事業所の合計労働時間(1つの事業所の労働時間が5~20時間)が週20時間以上であること
3.2つの事業所の雇用見込みが31日以上
通常は雇用保険の手続きは事業主が行いますが、この手続きに関しましては、本人が手続きをする必要があり、必要な証明を事業主が行うこととなっています。
取得日から雇用保険料の納付義務が事業主には発生しますので、その際はご協力下さい。
なお、この申し出により不利益な取り扱いをすることは禁じられております。
編集後記
小中学校を運営する国立大学法人のうち埼玉大学や高知大学、筑波大学等20法人で付属校勤務の教員の時間外労働に対する未払い賃金が発生していました。18法人につきましては労働基準監督署の是正勧告を受けているそうです。
顧客先でも、数件監督署の調査が入りました。「時間外・休日労働」、「健康診断」に関する届出及び書類の整備に関する是正です。就業規則の改定、各種届出等ご相談ください。
年末年始休業のお知らせ
本年も格別のご高配を賜り誠にありがとうございました。来年も宜しくお願い致します。
当事務所の年末年始休業は12月29日~1月5日です。宜しくお願い申し上げます。