雇用保険料率について

 「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が令和2年3月31日に国会で成立し、雇用保険料率は以下のとおりとなります。因みに令和元年度から変更はございません。
事業の種類 労働者負担 事業主負担 雇用保険率
一般の事業  3/1000  6/1000   9/1000
建設の事業  4/1000  8/1000   12/1000

65歳以上の雇用保険料免除廃止

 前月もお知らせいたしましたが、雇用保険料の免除が廃止されます。対象者は令和2年4月1日時点で64歳の方(昭和31年4月1日以前に生まれた方)です。
 従前免除されていた保険料の控除が始まります。労働保険料の年度更新事務では31年度の確定保険料につきましては、免除されますが、2年度概算保険料では、算入されることとなります。ご注意ください。

労災保険料率について

 本年度の労災保険料率は30年度と変更はございません。

経営事項審査の基準見直しついて

 令和2年3月31日、国土交通省は令和2年4月1日施行の経営事項審査の一部見直しについて告示致しました。主な改正点は以下のとおりです。因みに経営状況分析につきましては今回改訂はございません。
1.技術力(Z)技術職員数(Z1)の改正
 今年4月より運用されている建設キャリアアップシステムのレベルアップ判定を活用して優れた技能者を雇用する事業者を評価
 ① 建設技能者の能力評価基準によりレベル4の者は「登録基幹技能者」と同レベルとして3点付与
 ② 建設技能者の能力評価基準によりレベル3の者は「技能士1級」と同レベルとして2点付与

子ども・子育て拠出金率改定

 令和2年4月分(5月給与支給日)より子ども・子育て拠出金率が以下のとおり変更されます。給与計算の設定等の変更が必要です。ご留意下さい。
   3.4/1000→3.6/1000

雇用調整助成金給付期間短縮へ

 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主に向け、労働者を1人も解雇しなかった場合は休業手当の中小企業で90%、大企業で75%(1人1日当たり8,330円が上限)を助成する「雇用調整助成金」の制度ですが、緊急対応策として申請から給付までの期間を約1カ月に短縮するとのこととなりました。従前2カ月程度かかっておりましたが迅速化が必要、との判断です。残業相殺も当面停止とされ、計画届は6月30日までの事後提出が可能とされています。
 現在の支給限度日数は1年100日、3年150日とされておりましたが、今回はそれに4月1日~6月30日の対象期間を加えることとなりました。雇用保険の被保険者でない労働者も助成対象とする。短時間休業が一斉休業のみ対象としていたものを条件緩和する。生産性指標を従来3ケ月10%低下が条件だったものが1カ月5%低下に緩和等特例措置が実施されております。先の見えない状況ですが、助成金の適用も必要な場合は考えてもいいのではないでしょうか。ご相談下さい。

時間外労働の上限規制ついて

 時間外労働(残業)の上限規制が本年4月より(大企業は昨年より)中小企業も適用されることとなりました。これまでは告示であったため罰則による強制力がなく、特別条項を設けることにより実際には上限がなかったわけですが、今回の改正により原則として月45時間年間360時間となります。
 臨時的な特別の事情があっても年720時間、時間外と休日の合計が月100時間を、また2カ月~6ヶ月平均月80時間を超えてはならないとされています。また、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6回を限度とします。違反すると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となりました。但し、建設業、運輸業、医師につきましては5年間の猶予がありますので、2024年4月から、となります。
 従業員に残業をさせるためには三六協定を締結し、監督署に届け出る義務があります。未届けの場合は法律違反となりますのでご相談下さい。

編集後記

 今カミュの「ペスト」が増刷されているようです。43歳の若さでノーベル文学賞を受賞した哲学者であり作家ですが、この本はまさに新型コロナウイルス感染症が蔓延する昨今の状況を予言したかのようです。初期段階での官僚の反応、医療崩壊、都市封鎖、裏切りや密告、同胞同士の相互不信等変わらない人間の性が迫りくる不安と恐怖の中で浮かび上がってきます。外で気分転換のできない今、不条理文学の巨匠に接するのもよろしいのではないでしょうか。